炎は後ろじゃなくて、横から出た。まずそれに驚いた。次に驚いたのは、その大きさ。すぐ横のホイールより幅のある白とオレンジの火の玉が、暗い駐車場で紫のマクラーレンP1の脇腹から、アスファルトの上をごろんと転がっていった。アフターファイヤーなんて見慣れているつもりだったけど、これは別物だ。
【現場】紫のP1がいた夜
撮ったのは右リアの角のすぐ後ろから。夜、木立とレース用トランスポーターに囲まれた駐車場だった。TOYO TIRESのトラック、ピンクのリバリーのピックアップ、積載車、チームのバン。ダークなジャケットにネックストラップを下げたスタッフたちが、次の「ブォン」を待って立っている。そしてクルマ本体は、ノーマルとはほど遠い。
【ここがヤバい】このP1のチェックポイント
- ウイング:背の高いマウントに載った巨大な固定リアウイング。公道版P1のアクティブウイングよりはるかに大きい
- マフラー:リアボディの側面、ホイールのすぐ横から突き出た太いパイプ。炎の出どころはここ
- リアまわり:エンジンとプレナムが見えるオープンなボディワークに、深いフィン付きディフューザー
- リバリー:紫のボディに、エンジンカバーのLanzanteとO'Garaのロゴ、グラフィティ風のサイン、「#DREAMBIGHUSTLEHARDER」の文字
注目したいのはLanzanteのロゴ。Lanzanteはイギリスの会社で、1995年のル・マンで勝ったマクラーレンF1 GTRを走らせたチーム。のちに、サーキット専用だったP1 GTRを公道仕様に仕立て直す仕事で知られるようになった。とはいえ、数秒の動画でこのクルマの来歴まではわからない。だから「これがその一台だ」とは言わない。言えるのは、見た目はそれっぽい、ということだけだ。
【豆知識】マクラーレンP1ってどんなクルマ?
- マクラーレン初のハイブリッド・ハイパーカー
- 生産:2013〜2015年、375台
- パワートレイン:3.8リッターV8ツインターボ+電気モーター、システム合計916PS
- ライバル:ポルシェ918スパイダー、ラ・フェラーリ。この3台で、あの時代のハイブリッド・ハイパーカー「御三家」
【ツッコミ】「Rotary Mac」ってなに?
僕らはこのクリップに「Rotary Mac」というキャプションと、#tokyoautosalon のタグを付けて投稿した。前半はただのネタ。P1は工場出荷時点でV8だし、撮った映像にもそれ以外のエンジンが載っていると思わせるものは何もない。ロータリーサウンドを期待した人、ごめんなさい。
ハッシュタグのほうは、日本でいちばんぶっ飛んだクルマたちが出てくる週を指している。毎年1月、幕張メッセで開かれる東京オートサロンだ。ただし、このクリップが本当にそこで撮られたものかは、映像からは確認できない。タグは「気分」であって、日付と場所の証明じゃないと思ってほしい。日程やチケット、行き方は僕らの東京オートサロン ガイドにまとめてある。
【まとめ】日本のスーパーカーは、静かにしていない
日本はスーパーカーを静かに楽しむ国じゃない。ある夜は、東京でケーニグセグ アゲーラRSRを発見した話みたいに渋滞の中のケーニグセグ。ある日曜は、明治神宮外苑のいちょう並木の下のカウンタック。そしてこの夜は、ひとあおりごとに駐車場を花火大会に変えていく紫のP1だった。
写真・動画:One Breath Pictures



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